タナベ経営「基幹系システムの導入・活用に関する企業アンケート」結果を発表

~全国の経営者・経営幹部・管理部門を中心に10,184名にアンケート調査を実施~

​日本の経営コンサルティングのパイオニアである株式会社タナベ経営は、全国の企業経営者・経営幹部・管理部門を中心に10,184名を対象に実施した「基幹系システムの導入・活用に関する企業アンケート」の結果を発表します。

■調査結果サマリー

  1. 基幹系システムの導入状況は、「自社にシステムを導入していない」(37.9%)が最も多く、次いで「Excel等Office系アプリケーションで対応している」(25.1%)となりました。半数以上の企業において、基幹系システムの導入そのものがなされていないことがわかりました。
  2. システムの導入時期では、「16年以上前」(13.9%)と「11~15年前」(12.0%)の回答数が多く、システムの拡張性や保守性の低減が懸念される結果となりました。
  3. システムの活用状況および課題については、「業務の生産性向上や効率化は進んでいるが、業績管理を含むデータの有効活用に課題がある」(34.4%)が最も多い結果となりました。

■63%の企業が「基幹系システムを導入していない」と回答

基幹系システムの導入状況については、「自社にシステムを導入していない(アウトソーシング先での対応を含む)」(37.9%)が最も多く、次いで「Excel等Office系アプリケーションで対応している」(25.1%)となり、63.0%の企業で基幹系システムの導入そのものがなされていないことがわかりました。

■既存の基幹系システムで会計プロセスまでカバーできていない実態が判明

「基幹系システムの導入範囲(複数回答可)」の設問では、「人事・給与計算システム」(43.6%)が最も多く、次いで「販売管理システム」(35.6%)となりました。「単体会計システム」は22.5%の導入にとどまっており、多くの企業において既存の基幹系システムで会計プロセスまでカバーできていない実態が見受けられます。
販売管理は一定のカバーがなされているものの、「SFA・CRMシステム」(12.7%)は多くの会社で連携が進んでおらず、顧客リソースを全社情報とリンクさせている企業は一部にとどまっているといえます。

■DXへの取り組み推進は2極化!既存の基幹系システムは25.9%の企業が「11年以上前」に導入

「基幹系システムを導入している」と回答した企業に「既存の基幹系システムの導入時期」について聞いたところ、「16年以上前」が13.9%、「11~15年前」が12.0%と回答数が多く、システムの拡張性や保守性の低減が懸念される結果となりました。
一方で、2025年の崖を見越し、「1年未満」(7.6%)および「1~5年前」(27.2%)にシステムを入れ替えた企業は合わせて34.8%となることから、DXへの取り組み推進の2極化が見られました。

■「業績管理を含むデータの有効活用に課題がある」(34.4%)が最多回答

「基幹系システムの活用状況及び課題について(複数回答可)」の設問では、「業務の生産性向上や効率化も進み、業績管理を含むデータの有効活用ができている」が27.7% にとどまりました。最も回答数が多かったのは「業務の生産性向上や効率化は進んでいるが、業績管理を含むデータの有効活用に課題がある」(34.4%)であり、こうした場合はシステムの全体像を設計する前段階として、企業としての重点指標・データおよびそのマネジメント方法などの“整理・再構築”が重要です。
「部分最適となっており、全社的な統合基幹系システムとなっていない」(14.6%)、「複数システム間のデータ連携が未実現のため、データ加工作業等が多数発生している」(9.2%)といった課題を抱える企業も多く、全社的なシステムの連動性を確保した全体像の設計が求められています。

■基幹系システム更新において、投資回収効果と専門人材の不足が代表的な課題「基幹系システムの更新における障壁(複数回答可)」の設問では、「自社にとって適正なコスト・投資金額・投資効果が算定できない」(25.5%)が最も多い結果となりました。基幹系システムは多額の投資が必要になる反面、使用期間が長期にわたるため、投資の可否(投資回収効率)の判断が難しいことが原因と考えられます。改めて、自社が目指すべきビジスモデルにおけるシステムの重要性を軸として、多角的な観点から投資判断を行う必要があります。
また、「既存システムを理解しているIT人材/自社の情報システム部門の人材等が不足している」(11.6%)、「新システムの企画・設計・開発人材の不足」(11.8%)も代表的な課題です。

■既存の業務プロセスを見直し、生産性の高い事業構造の設計を目指している企業が多い

「今後行っていきたいDX(複数回答可)」の設問では、「業務プロセスの効率化」(22.1%)の回答が最も多く、次いで「業務プロセスの質・精度の向上」(14.8%)となりました。多くの企業が既存の業務プロセスそのものを見直し、生産性の高い事業構造の設計を目指していることが読み取れます。
また、「ビジネスモデルの変革(サブスクモデル・EC等)」(11.4%)の回答数から、顧客接点の見直しや収益構造そのものの変革についてデジタル技術を用いて実現させたいという意思がうかがえます。

■タナベ経営 専門コンサルタントによる考察コメント
DX が従来のデジタル投資と明確に異なる点は、その技術がビジネスモデルの『変化』ではなく、『変革』を促すものである点です。抽象的な表現ではありますが、変化とは「時間的・空間的な推移によって物事の性質や状態などに違いが現れること」であり、 変革とは「過去の成功体験を否定し、新しく創りあげていくこと」です。永らく、多くの国内企業で課題とされてきた「レガシーシステム」の問題はこれにあたります。レガシーシステムとは、導入時から相当な時間が経過し、拡張性や保守性が低減しているシステムを指します。2018 年に経済産業省が発表した「DX レポート」では「2025 年の崖」が提唱されています。企業がレガシーシステムを放置することでDX が阻害されたり、多くの基幹系システムのサポートが終了する2025年以降、国内で大規模な経済的損失が発生することが危惧されています。多くの企業において、既存の基幹系システムやソフトウェア等が「レガシーシステム」であることが、DX への取り組みに向けた課題の一つといえます。
システムの過剰なカスタマイズや最適化のサイクルは、システムの複雑化・肥大化を招きます。DX推進においては、まず自社内でレガシーシステムをしっかりと見直すことが肝要であり、アフターコロナを見据えた新たなビジネススタイルに対応するDXを計画することが重要です。

(タナベ経営 ファンクションコンサルティング東京本部 チーフコンサルタント 藤村 拓弥)

■調査概要
[調査方法] インターネットによる回答
[調査期間] 2021年1月20日(水)~2月12日(金)
[調査エリア] 全国
[有効回答数] 10,184名

出典:PR TIMES https://prtimes.jp/