公益財団法人流通経済研究所が主催するネットショッパー研究会では、eコマース(EC)による食品・日用品販売の現状を把握するため、全国約1万人のショッパーを対象としたアンケートを毎年実施しています。2020年の調査では、前年に比べて「安さ」を重視する人が減少し、「注文操作のわかりやすさ」を重視する人が増加したことが分かりました。コロナ禍において、ECの利便性がますます評価され、仮に割高であっても利用されるようになっていることが示唆されます。
<分析結果の紹介>
調査では、ECを直近1ヶ月に利用した人に対して、各項目について「インターネットで買い物をする際に重視する」かどうかを聴取しています。図の棒グラフは、「食品」を購買する際に各項目を「重視する」と回答した人の割合で、折れ線グラフは、昨年度の同設問とのギャップを示しています。

回答者の割合がもっとも多かったのは「配送料がかからない」で、EC利用者の5割弱が重視すると回答しています。昨年と比較しても1pt程度増加しており、ECサイトを選ぶ最大の理由となっていることがわかります。一方、「配送料が安い」を重視する人の割合は1pt以上減少しており、単に安ければよいということではなく、「配送料無料」が特別な価値を持っていることがうかがえます。

他に昨年との比較で割合が1pt以上減少した項目として、「近隣店舗よりも安く買える」「実店舗と同じ商品を安く買える」があります。「配送料が安い」と合わせて、「安さ」に関する項目はいずれも回答者の割合が減少しています。コロナ禍において、外出せずに商品を購入できるというECの利便性が改めて評価され、その対価として多少の割高さを許容する人が増加したと見ることができます。

逆に、「注文操作がわかりやすい」項目は昨年比で3pt近く増加しています。コロナ禍でEC利用が増加した結果として、頻繁な注文手続きが煩雑にならないことがより評価されてきていると考えられます。ポストコロナのECは、商品・価格軸はもちろんのこと、購買に至る一連のUIとUXの洗練を進めなければ、ショッパーの支持を得られなくなっていく可能性があります。

<ネットショッパー研究会について>
流通経済研究所では、2018年度より、ECやネットスーパーにおけるショッパーの購買行動や意識面の特徴を把握すること、ならびに、対応のあり方を検討する場として、「ネットショッパー研究会」を開催しています。購買データ分析や消費者調査、グループインタビュー、実務家講演などを通じて、ネットを通じた購買行動に関する知見を蓄積しています。

2021年度は、上記の1万人ショッパー調査や消費者パネルデータの分析に基づき、コロナ禍で多様化するECチャネルに対して、メーカー・卸売業はいかに対応していくべきか、戦略的な視点から情報を発信していきます。今年度は特に、日本でも成長を続けるAmazonへの対応を大きなテーマとして、報告プログラムを構成しています。

ネットショッパー研究会では、今年度の参加企業を募集しておりますので、ご関心をお持ちの方は、是非、下記Webページよりお問い合わせください。

ネットショッパー研究会
https://www.dei.or.jp/project/netshopper/

出典:PR TIMES https://prtimes.jp/