■BtoCマーケットがデジタル&ネットワークの影響でどのように変化しているか市場調査データで把握
インターネットは大きく分けてBtoC、BtoBの二大市場で成り立っています。その一つであるBtoCはECの普及により、リアル店舗に並ぶ巨大市場になりました。特に中国と米国は急速に拡大を続け、いまやマーケット基盤となっています。ではBtoCはどんな特徴があるでしょうか。まとめると以下の通りです。
- 顧客が多い(全人口が対象になりえる)
- 情報収集手段は多岐にわたる(メディア、SNS、口コミ。。。)
- 購買決定者は自分、また家族(決定権はシンプル)
- 価格が安い(例外は除いてBtoBより単価は安い)
- 購入までの決定期間が早い(数秒で決定する場合も)
一つ一つは説明の必要はないと思いますので省略しますが、BtoBとは真逆の特徴を持っています。
こうしたBtoCの購買活動に関して様々な定性的な統計データが公表されているため、デジタルマーケティングの重要性を改めて把握するために、そうしたデータを集めてみました。
こうして集めてみると、BtoBよりもBtoCの方が情報収集に苦労したというのが実感です。なぜでしょうね。。
■企業が公表している各種市場調査データを参考にしよう
●インターネット利用関連市場調査
最初はインターネットの普及状態を確認しましょう。普及している事実は万人が理解していると思いますが、その浸透度合いは想像以上かもしれません。
●インターネット利用状況(出典:総務省「令和元年通信動向利用調査 別添2 令和元年通信利用動向調査の結果(概要)」)
言うまでもなくインターネット利用者は増加しています。面白い点は令和元年になりさらに増えたという事です。意外ですね。それまでは停滞傾向、または減少も見られたのに。おそらくはスマートフォンの伸びが影響したと思います。
●年齢階層別インターネット利用状況(出典:総務省「令和元年通信動向利用調査 別添2 令和元年通信利用動向調査の結果(概要)」)
この数字で特筆すべき点は高齢者の伸び率が高いことです。もちろん若年層はいずれ高齢化するので、時間が経過すれば代替わりにより必然的に伸び率は上がるのですが、60歳以上、特に80歳以上が1年で倍以上になっている点が驚きです。「インターネット利用状況」で令和元年が伸びたのはこの影響でしょう。
●インターネットの端末の利用状況(出典:総務省「令和元年通信動向利用調査 別添2 令和元年通信利用動向調査の結果(概要)」)
やはりモバイルが多いですね。BtoCは完全にモバイルファーストでWeb構築する必要があります。
●インターネットの利用目的・用途(出典:総務省「令和元年通信動向利用調査 別添2 令和元年通信利用動向調査の結果(概要)」)
インターネットの利用目的・用途は概ね想像通りですが、SNSの発展で電子メールの利用は減少したと思っていました。そのため意外と多いという実感です。ただ1年間で減少傾向ではあるようです。
●BtoC消費者購買プロセス関連市場調査
一般的な消費者行動プロセスについては、情報があまり無いように感じました。この分野は特にシンプルなデータがもう少し欲しいところです。。
●インターネットによって、各購買プロセスが容易に(出典:総務省「ICTインフラの進展が国民のライフスタイルや社会環境等に及ぼした影響と相互関係に関する調査」(平成23年))
BtoCの商品購入ではインターネットの情報活用が大きな影響を与えています。ほぼすべての消費行動に活用されていると言ってもよいでしょう。
●インターネットの購買活動に与える影響調査(出典:株式会社エルテス 2015年2月5日)
少し古い情報ですがBtoCの購買活動に与えるインターネットの影響がシンプルにわかるデータです。シンプルなだけに説得力がありますね。2015年のデータなので、現時点では90%を優に超えているでしょう。
●購入前にインターネットで検索する行動について(出典:株式会社エルテス 2015年2月5日)
「購入前にインターネットで検索する行動について」は商品別の行動が良くわかります。またネガティブな情報にも敏感な傾向がみられるため評判はものすごく大切という事が良くわかります。引き続き口コミマーケティングは伸びるでしょうね。
●各メディアの利用率(出典:大日本印刷㈱「メディアバリュー調査」)
言うまでもなく、メディア利用でもインターネットが急速に拡大を続けています。以下は少々古いデータであるため、最新ではインターネットがテレビを上回ていると思われます。ただ「ファーストコンタクト」「ファーストタッチ」という意味ではTVを侮ってはいけません。実感としてTVで扱われるとインターネット検索、Twitterなどが飛躍的に使われます。
●EC関連市場調査
EC関連の情報は比較的集めやすかったです。ECサイトでアンケート調査をすることにより簡単にデータを集めることができますから当然ですね。
●国内EC市場は5年で約1.5倍(経済産業省:令和元年度電子商取引に関する市場調査引用)
EC市場は長期的に拡大しています。今後DX(デジタルトランスフォーメーション)などの急速な発展で、店舗に行かなくても最適な商品が最適出来るようになり、この発展は止まらないでしょう。もしかしたらリアル店舗はショールーム機能になり、ECで購入するという利用形態に変貌するかもしれません。(すでにしているのか?)
BtoC-EC市場規模を分野別にみると、下表のとおりとなります。BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率(引用: https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/r1_kohyoshiryo.pdf)
2018年 | 2019年 | 伸び率 | |
---|---|---|---|
A. 物販系分野 | 9兆2,992億円 (EC化率 6.22%) | 10兆515億円 (EC化率 6.76%) | 8.09% |
B. サービス系分野 | 6兆6,471億円 | 7兆1,672億円 | 7.82% |
C. デジタル系分野 | 2兆382億円 | 2兆1,422億円 | 5.11% |
総計 | 17兆9,845億円 | 19兆3,609億円 | 7.65% |
●越境EC市場規模(経済産業省:令和元年度電子商取引に関する市場調査引用)
●【オンライン通販の利用頻度 / 利用理由 / 利用デバイス / アプリ利用割合】(CRITEO株式会社引用)
全体の約9割が「1ヶ月に1回以上」オンライン通販を利用。また、50代の約8割がブラウザ、20代の約5割がスマホ経由で通販利用をするなど世代によるデバイス二極化も判明。~さらには、全体の3割がブラウザではなくアプリ経由でショッピングという結果も~
●【オンラインショッピングの利用頻度×Instagram利用頻度】(CRITEO株式会社引用)
Instagramヘビーユーザーはオンラインショッピングの常連!?
オンラインショッピングの利用頻度、全体平均で18%が「1週間に1回」と回答。一方、週1以上Instagramを活用しているユーザーは26%が「1週間に1回」利用。
●【オンライン通販および実店舗で購入する商品ジャンル×性別】(CRITEO株式会社引用)
“オンライン通販の使い方“で男女の価値観の違いが浮き彫りに・・ネット通販で頻繁に買うもの、男性1位は「家電製品」、女性1位は「洋服」一方、「日用品」や「食品」の購入は”実店舗派”が依然8割を超える結果に。
●【“ショールーミング” 経験の有無】(CRITEO株式会社引用)
「実店舗で商品を比較検討し、オンライン通販で購入」する”ショールーミング”が加速!全体の8割以上が「実店舗で商品を比較検討した後、オンラインで購入した事がある」と回答。 ~全体の7割以上が「実店舗で商品を見て、スマホで即座に値段を確認」 する価格検討タイプであることも判明 ~
●【平日・休日におけるオンライン通販の商品探し・購入シーンの違い】(CRITEO株式会社引用)
「オンライン上での商品探し」に費やす時間は平均で1日2時間!平日のオンライン上での商品探し・購入は「夕食~就寝前」が7割以上を占め、「通勤中」「帰宅中」などのスキマ時間は1割未満にとどまる結果に。
●【スマートフォン・PCで購入を決断できる商品金額】(CRITEO株式会社引用)
スマホでの購入金額の平均は45,864円/PCは61,095円、デバイス毎で“ポチれる”金額に差があることが判明。