■そもそも「ナラティブ」とは何だろう

「ナラティブマーケティング」以前に「 ナラティブアプローチ 」という言葉があるのはご存じだろうか。医療現場と教育現場で主に使われている。ここから理解を進めるのが分かりやすいと思う。

●教育のナラティブアプローチ

私が、この言葉に接したのは15年ほど前で教育系の権威ある教授からお聞きしたのが 「 ナラティブアプローチ 」 だった。当時は私たちセクションで体験型教材の設計をしていた。その時にアドバイスを頂きたく、お会いした先生から、「それはナラティブアプローチだね」と教示頂いた。

●ストーリー「物語」とは少し違う。

よくナラティブを「物語」と訳すが本質的にはそうではない。

教育業界として簡単に言えば一種の体験型の教育で、ロールプレイの中で自身が主人公となり体験しながら、随所で選択を行い、その結果から理解を深める。答えは一つではないというケースが多い。

ちなみに企業の社内セキュリティ研修で事例ビデオを見るながら学習する教材があるが、 ナラティブはこれではない。こちらはストーリーアプローチといってもよいだろう。

●ロールプレイゲーム感覚の教育を ナラティブアプローチ と言う。

本や映像の物語は一本道のストーリーで進んでいく。しかしロールプレイゲームでは途中のゲーマー意思決定により物語が変わっていく。つまり自分が主人公になりゲームを進めていく。こうした疑似体験形で教育を進めることを ナラティブアプローチと言うらしい。(間違っていたら是非とも指摘を。。。修正します)

●医療の ナラティブアプローチ

医療でも「ナラティブアプローチ」という言葉が使われている。病気は医者が診断し、その状況を患者に伝える。しかし病気の治療や取り組みは患者の考え方や生活習慣で変わってくる場合がある。

そのため病院側が、患者を理解するために病気を軸として「患者の考えや思い、人生の優先順位、そしてここに至った病気の経緯への思い」を語ってもらい、一人一人の幸せや人生観、病気に対する取り組みを知ったうえで、個々に最適な治療の方針をアドバイスするらしい。こちらは、患者に語らせるというフレームワークだ。教育系とは違う意味のように感じる。

■ターゲットの物語の中で活用イメージを膨らませ興味を持たせるのが「ナラティブマーケティング」

「 ナラティブ」は作家が作った「架空の第三者」を主体としたストーリー(物語)とは違う。確かに物語であるが、読者が「自分の事」と思うような展開で理解を促進する

あるいは

読者とインターラクティブなコミュニケーションを行いながら理解を促進する

これが私なりの「ナラティブマーケティング」の理解だ。

「ナラティブマーケティング」はまだまだ定義と実践が曖昧だ。それぞれの解釈の違いや、また事例的なものが少ないため、現時点では理解が難しいが、私なりにいくつかまとめてみた。

●活用事例的なストーリーでの展開

ジャパネットタカタの高田社長は、TVショッピングで必ず利用者目線のベネフィット訴求を行う。例えば

1.仕様訴求「世界最小のデジタルカメラです」

2.そして特長訴求「胸のポケットに入るのでいつでも撮影できます」

3.最後にベネフィット「だからあなたのお子さんの一番かわいいシーンを逃しません」

この展開により全国のお父さんがジャパネットタカタに電話することになる。ターゲットを絞り込み、絞ったターゲットを確実にキャッチする「ナラティブマーケティング」がここにある。

●SNSなどでのマーケティング展開

本来ナラティブは、個々のターゲットに合わせたインターラクティブなコミュニケーションにより効果が最大化すると思う。例えばFaceBookやLineなどによってある種の興味を持っている特定ユーザーに的を絞ってマーケティングコミュニケーションを行えばさらに効果が上がる。Lineなどは現在いる地域で情報の出し分けを行う機能があるが、ターゲットを絞った 「ナラティブマーケティング」 と言える。

●マーケティングオートメーションのフロー展開

インターラクティブなコミュニケーション と言う意味ではMAの活用によるコミュニケーションの自動化も 「ナラティブマーケティング」 に近いと思う。ナーチャリング(育成)の設計はまさに 「ナラティブアプローチ」すなわち 「ナラティブマーケティング」 と言える。設計に於いてはまさに「体験」が重要なキーワードとなる。

■参考になるサイトはこちら

繰り返すが 「ナラティブマーケティング」 は、まだ定義が曖昧であるため、これから紹介するコンテンツも、私の解説と違うところがある。ただこうした違いを含めて把握することで、マーケティングのヒントになればよいと思う。

●ナラティブアプローチ(看護)

● ナラティブマーケティング