■マーケティングオートメーションは使いこなすための手順がある
日本でもマーケティングオートメーションの導入はかなり進んできた。しかし相変わらず導入を失敗したという話は後を絶たない。実はごく簡単にマーケティングオートメーションを使いこなす方法がある。本コラムでなるべく簡単にこの使いこなし法を解説しよう。
●まずは自社ビジネスがマーケティングオートメーションの導入に向いているか、考えてみよう。
単純な話ではあるが、マーケティングオートメーションの導入には予算(投資)が必要だ。概ね以下の費用が発生する。
- ツール導入初期費用
- ツール導入 月額運用費用
- 運用人件費
- コンテンツ等の作成費用
この4つの費用が必要となる。ツール導入の初期費用と月額費用は、そのツールにより費用は異なる。かなり安いツールも存在する。しかしある程度使いこなしを考えると中規模ツールが必要になる場合が多い。
大切な点は運用人件費とコンテンツ等の作成費用だ。マーケティングオートメーションを運用にはある程度の稼働時間が必要となる。またWebやメールなどのコンテンツ(提供情報)もこれまで以上に必要だ。この人件費とコンテンツ等の作成費用がばかにならない。
よって導入にはプラス事業予算が必要になるため、薄利多売のビジネスには向いていない。またマーケティングオートメーションの特徴は「顧客の育成」だ。 見込み客がサービス の購入にあたり、多くの情報と難しい判断が必要な物に向いているが。すなわち趣味趣向の強いサービスで感覚的に買いたくなる物には向いていない。飲食店などはその最たるものだと思う。
まず、これを前提として、導入を検討するために次の確認をしたい。
●インバウンドマーケティング、インサイドセールをしたことがあるか?
インバウンドマーケティング、インサイドセールをしている企業、したことがある企業は、導入して直ぐに使いこなせる可能性が高い。特に以下のアクションをすでに行っていたら即導入すべきだろう。
- Webで積極的に問合せを獲得するためPDCAを回してコンテンツ改善している
- 問合せ後のお客様フォローでメルマガを配信している
- 個別のお客様に営業からダイレクトメールを送信している
- 反応が良いお客様にテレアポを行っている
実はこれがインバウンドマーケティングのエッセンスそのものだと言える。
●米国は手動で「マーケティング」を行っていたため「オートメーション」により効率が高まった。
そもそも米国生まれのマーケティングオートメーションは、インバウンドマーケティングのサポートツールとして生まれたと言える。
ご存じの通り米国は国土が広く企業は全国に点在している。つまり営業マンが簡単に訪問できる環境ではない。これを解決するためにインバウンドマーケティングが生まれた。また昨今のインターネットでのビジネス普及によって見込み客は押しつけ的なプロモーションであるアウトバウンドマーケティングを嫌い、自分の欲しい情報を公平に手に入れることができるインバウンドマーケティングを求める傾向が強くなった。
そう、つまり米国ではマーケティングオートメーションが無い時代から「マーケティング」を手動で行ってきたため、これを効率化する「オートメーション」を導入することで投資対効果はすぐに上げることが出来た。
●日本は「商い」を行ってきたため「オートメーション」には努力が必要だ。
さて日本においては国土が狭く、しかも企業は東京をはじめとする都市圏に集中しているため、泥臭い「営業」行為に苦労はなく、一日で数件回れる状態だった。そのため「マーケティング」よりも人との関係を第一とする「商い」が有効であった。
しかし日本の国土の広さは変わらないが、インターネットの発展によるアウトバウンドマーケティングの衰退は起きている。しかも国内外含めた競争の激化により「商い」がうまく機能しなくなってきた。
しかしここで「じゃあマーケティングオートメーション導入しよう」はかなり乱暴な話となる。マラソン未経験者がいきなりフルマラソンにトライするようなものだ。
やはりトレーニング、またはハーフマラソンなどの中距離から始めないと完走できない。
同じように頑張って マーケティングオートメーション導入から始めるとかなりの努力が必要となる。そして完走できない。これが日本の現状だと思う。
■マーケティングオートメーションを導入する前にやることがある
まずは「オートメーション」の前に「マーケティング」アクションを社内に定着させる事が必要だ。進め方の詳細はまたいつか別のコラムで解説したいが、以下のアクションが必要となる。
- インターネットを活用したマーケティング&セールスを強化(目標設定)
- 営業の成功法則を見える化する
- 見込み客の傾向(ペルソナ)
- 成功する営業ステップ(カスタマージャーニー )
- 提案書を含めて販促ツールの整理
- これらを取り入れたWebコンテンツを拡充し営業をサポートする
- さらにWebのPDCA運用を行い改善を行う。
- このアクションを通じてセールスとマーケティングの協力を行う
これらのアクションを半年から一年間くらい行う事で、成功の法則が見えてきて、また運用も効率的になってくる。この時点でマーケティングが社内に定着してくる。そして初めて、マーケティングオートメーションを導入検討することで成功する可能性が高くなる。特に以下の点が重要だ。
- 成功するシナリオ、運用スタイルが確立されているため、ツールの選定が明確になる(自社に最適なツールが選択できる)
- 導入による運用の効率が上がる(手動作業が自動化できる)
- 明快な費用対効果の計画が行なえる
このステップで導入をすれば、失敗することはないと考える。マーケティングオートメーションの導入は目的ではなく手段であることを改めて理解し、検討を進めてもらいたい。
■失敗しないマーケティングオートメーション
私は上記のステップをお勧めするが、導入フェーズに進めたい場合、以下の各コンテンツを理解しておいた方が良いと思う。
●【知らないと失敗する】MAツール導入前に知っておくべき6つのステップ
●マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する前に、確認すべきポイントとは
●【保存版】失敗しないMA導入の流れ&やるべきことリスト
●マーケティングオートメーション(MA)の導入でよくある失敗とその原因